【第63話】身長190cmを超えた怪力男に僕は救われました

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(これまでのあらすじ)

 

16歳で初体験を終えた矢吹。
初体験の相手の衝撃的な事実を知った矢吹は、付き合い始めてわずか1週間で彼女との結婚を決断した。
1年半後に訪れる高校卒業と同時に、荒れ果てた生まれ故郷を捨て、花の都“東京”へ彼女と駆け落ちをする計画を立てた。
この短期間で100万円を稼ごうと、矢吹の選んだ道は『パチンコ』。
極秘テクニックの実践で、いきなり月に50万以上を荒稼ぎすることに成功。
その後、失敗と挫折を繰り返すことになるが、なんとか安定的に収益を上げることができるようになった。
「よし、これで駆け落ちはなんとかなる!」
そう思った矢吹は、残りの高校生活で、彼女との同棲をスタートさせる。
このまま幸せな高校生活をエンジョイして、一気に彼女と駆け落ちできると思った矢吹だった。
ところがその後に待ち受けていたのは、次の大きな3つの事件であった。

[その1] 他クラスのヤンキー3名による夜襲事件
[その2] 地域No.1不良「ケント」の子分よる深夜の嫌がらせ事件
[その3] 同級生バイク事故死を発端とした大抗争事件

僕の仕返しをしようと立ち向かってくれたヨシノリも、タイマンで負けてしまった。

負の連鎖が止まらなくなった矢吹は、高校を辞める決意を下す…。

 

続きをどうぞ。

 

~~~~~~~

 

尾崎豊のことを知り、高校を辞める決断を下した僕の心は、比較的晴やかであった。

 

パチンコがあるので、当面、食い扶持(くいぶち)に困ることはない。

 

「高校を辞めて、ゆっくりこれからの自分の人生を見つめ直そう」

 

とても心穏やかに、こんなことを考えていた。

 

その日も、普通に学校へ行き、授業も普通通りに受けていた。

 

そして僕は、特に計画をしていたわけではなかったが、午前中の授業の途中で、突然席を立ち、1人教室を出て行った。

 

僕やヨシノリは、これまでも平気な顔をして授業の途中から退室していたため、先生に止められることはもはやなかった。

 

この時、ヨシノリは、窓際の端っこの席で、朝から机に顔を伏せて、僕の方には後ろ頭を向けて寝ていた。

 

どうせ、昨夜もミポりん(中山美穂:当時の愛称)似の彼女と、朝方までヨロシクやっていたんだろう。

 

僕はそんな妄想を抱きつつ、教室を出る直前に、ヨシノリの方をチラッと見て、心の中で小さく呟いた。

 

「あばよ、ヨシノリ…」

 

機械科の教室を出た僕は、そのまま保健室へ直行した。

 

しかし、まあ、保健室というものは、なぜこうも僕らを癒してくれる場所なんだろう。

 

学園ドラマにあるように、僕の高校もご多分に漏れず、保健室は僕らの心の傷を癒してくれるオアシスだった。

 

ここに、いつも倍賞美津子のような先生が常駐してくれていたんだ。
※もっと若くて白衣の似合う女性の先生だったらと、いつも思っていたなぁ~^^;;ごめんなさい!!先生!!^^;;

 

笑ってしまうのは、高校を退学しようと決めた後、僕は無意識に保健室に行ったことだ。
※ここでは、便宜上、保健室の先生のことを倍賞(仮称)先生と呼びます。

 

何かこう、母の温もりのようなものを感じていたのかもしれない。

 

 

「ガラガラガラ・・・」

 

 

矢吹:「こんちは…」

 

 

倍賞先生:「あら、どうしたの?久しぶりね、矢吹くん。どこか具合いでも悪いの?

 

 

実は、僕は授業が退屈な時は、腹痛を装って、よく保健室のベッドに寝っころがりに行っていた。

 

そんなわけで、保健室の倍賞先生とは、随分と仲良しだったのだ。

 

 

 

僕は、しばらく何も話そうとはしなかったが、なんとなく保健室の開放的な雰囲気に委ねられ、倍賞先生にこれまでの出来事を全てぶちまけてしまった…。

 

 

 

おそらく30分以上、僕は自分の身の上話を延々と話していたような記憶がある。

 

後半は、半年間連続的に続いた苦悩を思い出し、己のあまりの哀れさに泣き出す始末だった。

 

 


 

矢吹:「ぅ、うぅぅ、、・・・と、というわけで、僕、学校を辞めようと思います。
僕がこの学校に居ることで、争いは今後も続くような気がしてるし、何よりも僕の仲間が狙われるのが耐えられないんです…。

短い間でしたけど、ありがとうございました。
先生のことは、決して忘れません…(グスン)」

 

 

全く情けないったら、ありゃしない。

 

たった半年の出来事じゃないか。

 

17歳、セブンティーン。

 

まだまだ、人生はこれからだゾ!

 

“17歳の地図” なんて、まだ白地図のようなもんじゃないか。
※また使ってしまいました。尾崎ネタ^^;;

 

とまあ、当時の自分に、今の自分が語り掛けたところで、言葉なんて届くはずがない。

 

倍賞先生は、労(ねぎら)いの言葉を投げてくれた。

 

 

倍賞先生:「そっかぁ~、ここの高校はちょっと荒(すさ)んでるもんね~。
しかし、先生、矢吹くんが居なくなるのは寂しいな~。

・・・・(ちょっと言葉を考える倍賞先生)

私は矢吹くんのような経験はないから、
アドバイスできないかもしれないけどね、

1つだけ言えることは、
これから先の人生もいろんなことがあるわよ。
殴られたりってことはないかもしれないけど、
心が傷つくことは、きっとたくさんあるはずよ。
だから、先生はもう一度、学校を辞めることは考え直した方がいいと思うの…」

 

 

ありきたりのメッセージかもしれない。

 

でも、この頃から約30年が経過した今、本当に倍賞先生の言うとおりだと身を呈して感じている。

 

しかし、当時の僕には、倍賞先生のこの言葉が心に届くことはなかった。

 

 

矢吹:「先生、ごめん…。もう決めたことだから…。」

 

 

そう言って、保健室を後にしようとした時だった…。

 

保健室の入り口の右奥にあるベッドのカーテンがサッと開いた。

 

保健室には、先約が居たのだ…。(>_<;)

 

なんと、そこに現れたのは、生徒会長の龍也(仮名)だった。

 

竜也は、ずっと息を潜めて、僕の話の一部始終を聞いていた。

 

 

龍也:「矢吹、バカな考えは止めろ…」

 

 

ゆっくりとベッドから起き上がり、優しく諭すように龍也は僕に話し掛けて来た。

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龍也:「俺は、その剣道場の事件のことは、一切聞きてないけ、知らんけど、そんなんで高校辞めるとかすんなちゃ!
俺は、生徒会長やけど、頭悪いけ、高校出たところでどうなるかワカラン。
でも、矢吹は見た目は、俺らと同じやけど、中身は違うやろ…
お前の成績がいいこと位、俺達はみんな知っとる。
いつも中間と期末テストの結果が貼り出されるのを、俺達だって見とる。
お前とヨシノリは、なんでいつもトップの方におるんか、みんな首を傾げとったんよ。
高校、今止めてみぃ?全部、水の泡やど…。」

 

ここから、延々と、龍也の説教が始まった。

 

 

ここで、龍也の説明をしておこう。

 

 

——– ここから

 

前にも言ったが、僕の高校の生徒会は、学年でもヤンキー度が最も高い連中ばかりが選ばれる。

 

つまり、生徒会長は、言わずと知れた学年トップの番長なのだ。

 

龍也は、行橋よりも西に下った犀川(さいがわ)という田舎の出身であったが、まず何と言っても驚くのは、外人なみの身長の高さだったことである。

 

おそらく、190cmはあったのではないだろうか?

 

怪物・生徒会長の名に相応しかった。

 

喧嘩をしたことを見たことはなかったが、間違いなくウルトラ級の怪力の持ち主であることは、誰が見てもわかる容姿であった。

 

なので、龍也に喧嘩を売る度胸のあるヤツなんていなかった。

 

不思議なのは、行橋・田川地区のドンとして噂されることは、一度もなかったということである。
※以前もお伝えしたとおり、行橋・田川のドンは、「宮里さん」と「Y」だ。

 

髪型は、結構ボリュームのある茶髪リーゼントで、サイドはいつもポマードで長いサイドの髪を横に流していた。

 

そして、トレードマークは、5cm程度伸ばして茶髪に染め上げた後ろ髪だった

 

この茶髪の長い後ろ髪が、一層、龍也の長身を更に大きく見せていた。

 

服装はいうと、特注仕様のほっそい襟のバリバリの短ランに、胸元を開けて、いつも真っ赤なTシャツをチラつかせていて、れがまたお似合いだった。

 

ソックスも赤であり、胸元の赤いTシャツと合わせていて、これも龍也スタイルであり、誰も真似してはいけないという暗黙のルールのようなものがあった。

 

普通だと、この髪型と服装は、その場で服装頭髪検査をされ、現行犯でアウト!

 

その日のうちに、丸刈りされてしまう羽目に遭うのだが、なぜか龍也に限っては許されていた。
※僕は入学式のときにモヒカン頭にして、いきなり坊主にされたというのに…。
後、短く加工した短ランも没収されている!

 

ここは本当に不思議と思われる部分ではあるが、当時は本当に、こんな “龍也特約” のようなものがまかり通っていたのである。

 

そして何より凄かったのは、通学である!!

 

毎日、運転手付きのマスタングが、校門前まで龍也を送迎していたのである。
※有り得ないと思うでしょ?これが、当時本当にあった話ですからね!!!これ以上の高校知ったら教えてください。^^;;

mustang

 

龍也はこの一貫した高校スタイルでありながら、先生達から絶大な支持を受けていたのだ。

 

なぜかというと、風紀委員長でもあった龍也は、学校内のイジメを見つけては是正したり、他校からの抗争も全てストップさせていたからだ。

 

実は、この龍也は、龍也本人の凄さも去ることながら、実はオヤジが行橋の方でいくつもの事業を成功させており、資産家として名を轟かせていたのである。
※しかし、その事業はほとんどが闇の世界に通じるようなものばかりだった。

 

龍也の親は、龍也を高校へ通わせていたが、学校が終わると、そのまま夜は自分のところのスナックのマスターをやらせていたことでも有名だった。
※化学科の連中は、アジト代わりに、龍也がマスターを勤めるスナックに通っていたそうである。

 

龍也は、高校卒業と同時にカーショップ「ドラゴン・ファイヤー(仮称)」の代表取締役として経営者となり、他にも様々な事業を手掛け、今なお破竹の勢いで事業を拡大させているらしい。
※この龍也を見て、僕は世の中は良い大学を出ているとか偏差値が高いだけじゃ成功できないんだなって思った。

 

——- ここまで

 

 

結果、僕は龍也の説得により、高校は辞めずに卒業まで頑張ろうという気持ちに切り替わったのであった。
※今、思えば、本当に龍也には感謝しています。あの時に保健室に、お前が居なかったら、俺の人生は最悪になっていたと思う…。ありがとう、龍也。この場をお借りして、お礼を言います。

 

ここでは、具体的に龍也がどのようことを言って僕を説得させたのかは、敢えて控えさせていただくこととする。

 

ここは、読者の方の想像に委ねたいと思うのだが、要は、この龍也の家庭はかなり複雑で、一見、大富豪の息子ゆえに派手で華やかな生活をしているように見えていたのだが、普段明かされることのない実態(家庭事情)は壮絶なまでに凄まじいものだった。

 

龍也の人生経験(とっても、わずか15年の人生経験なわけだが)に比べると、僕の今回の悩みなんて銀河系に散りばめた星の一つにも値しないということがわかったわけだ。

 

この龍也の説得によって、僕の気持ちは大きく前向きになった。

 

そして、この気持ちの切り替えが、この後の僕の目の前に広がる景色が大きく変わっていくことになるなんて、とても想像できなかった。

 

 

(つづく)

 

fukkatsu

 

追伸:
さあ、皆さん、そろそろ終盤になりますよ♪
ようやくトラブルが綺麗に過ぎ去ろうとしています。
いやぁ~、ホントに長かったですね。
気持ちの悪い記事にお付き合いくださいまして、心から感謝しています。
次回から急に晴れ間が見えてきますからね☆
期待していてください!!^^

 

今日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
それではまた。

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