【第43話】戦闘開始!だが、僕は一方的に…

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(これまでのあらすじ)

16歳で初体験を終えた矢吹。
初体験の相手の衝撃的な事実を知った矢吹は、付き合い始めてわずか1週間で彼女との結婚を決断した。
1年半後に訪れる高校卒業と同時に、荒れ果てた生まれ故郷を捨て、花の都“東京”へ彼女と駆け落ちをする計画を立てた。
この短期間で100万円を稼ごうと、矢吹の選んだ道は『パチンコ』。
極秘テクニックの実践で、いきなり月に50万以上を荒稼ぎすることに成功。
その後、失敗と挫折を繰り返すことになるが、なんとか安定的に収益を上げることができるようになった。
よし、これで駆け落ちはなんとかなる!
そう思った矢吹は、残りの高校生活で、彼女との同棲をスタートさせる。
このまま幸せな高校生活をエンジョイして、一気に彼女と駆け落ちできると思った矢吹だった。

が…。

ある土曜の深夜に掛かった1本の電話から事体は急変するのだった。
深夜の中学に呼び出された矢吹を待っていたのは、他のクラスのヤンキー3人組だった。

~~~~~~~

 

ツネ:「三人の中から誰とタイマン張るんか!矢吹ぃ~!!」

マイッた。心臓が爆発しそうだ…。

どうあがいても、素手で勝てる相手じゃない…。

野球部の“マサル”

剣道部の“ツネ”

空手部の“田中”

選べるわけがない…。

中学時代、テニス部の主将をやっていたと言っても、軟式の柔らか~い、ボールを追いかけていた僕だ。
(軟式テニス部の皆さん、ゴメンナサイ!^^;;)

しかも、高校に入ってからは、プロのパチンコ部に所属していたようなもんだから、格闘技の経験と言えば、小学校時代の相撲程度なわけだ。

小学校時代の怪力ぶりは、自他共に認めるものだったが、中学/高校は、喧嘩はそこそこしていたものの、ここまでリアルで強烈な、ビーバップばりのシチュエーションなんて遭遇したことがなかった。

 

小学校時代、これほどまで激しくはなかったものの、結構大人数と喧嘩したことは何度かあったのだが、小学校と高校では、1対多の構成は人数が同じでも、空気やら雰囲気といったものは全く違う。

どちかというと、高校の大人数の喧嘩は、暴力団の抗争に近いものがあった。

 

そこで、僕はずっと下を向いたまま、ある戦術に出た…。

「オオオ、、オオオオ~~~オオオオ、、・・・・」

なんと、泣き伏せたのだ…。

土下座して、地面に額を付けて、ひたすら詫びを入れた…。

矢吹:「どうか助けてください…」
   「もう二度とふざけた態度は取りませんので…」
   「どうか、どうか、許してください…」
   「オオオオオオオ~~~・・・・」

この姿を見て、剣道部の“ツネ”と、空手部の“田中”は、腹を抱えてあざ笑った。

ツネ:「おい、見ろよ、コイツ、高校にもなって泣いて詫びようぞ。」
   「ワハハハッハ~~」

そう言ったかと思うと、奥にいた田中がいきなりこっちにスタスタ歩いてきて、手に持った空いたビール瓶で、僕の頭を叩こうとした。

それを見たツネが、

ツネ:「おい、それは止めとめ!ヤバイぞ」

と言ったのを、今でもはっきり覚えている。

(コイツら、狂ってやがる)

かなりのアルコールを飲んでいることは間違いないようだ。

僕は、ずっと土下座したまま顔を上げなかった。

なぜなら、涙なんて1粒も出ていなかったからだ。

顔を上げて涙を流していない自分を見て、逆上されるのだけは避けようと思った。

“これで、この場をしのげるのなら、安いもんだ。”
“反撃のチャンスは、後で必ずやって来る!”

心の中で、そう想い、ずっと情けない自分を演じ続けた…。

唾を手のひらにぺっぺっと吐き、涙を流したように見せるために、頬に擦り付けた。

ガキじゃないので、こんなことで許してもらえるとは思っていない。

タイマンは、誰かと張らないといけないことは分かっていた。

僕は土下座して、頬にも涙っぽさが出せたと思ったとき、そっと顔をあげて一瞬、三人を見たのだ。

ツネと田中は僕の滑稽な姿に爆笑していたが、野球部のマサルは、少し同情しているような顔をして、僕の方を見ていたことを、僕は見逃さなかった。

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(よし、コイツにしよう)

僕は、そう決めた。

 

そして、またツネが僕に言った。

ツネ:「わかった、わかった。」
   「お前はそんな器じゃなかったってことは充分にわかったよ。」

矢吹:「・・・・・」

ツネ:「なっさけねぇ~のぉ~~。」

矢吹:「・・・・・」

ツネ:「お前、それでよく機械科でツッパってられたのぉ~~。ケケケケケケ…」

矢吹:「・・・・・」

ツネ:「オレらの一人とタイマンくらい張れや!ボケ!!」

(ホントに誰かとタイマン張って、もしもオレが優位になったら、どうして来るかくらい、想像できるやろうが!バカか、コイツ!!)

と、この時も、僕は、実はいたって冷静にコイツらの会話を、黙って聞いていた。

ツネ:「ケジメや、一人選べ、矢吹ぃ~!!」

僕は、そっと顔を上げて、弱った表情を見せて、野球部のマサルの方を見た。

マサルは、僕から指定されるのが分かっていたかのように、少し悩んだような、怒ったような、複雑な面持ちで僕の方を見ていた。

ツネ:「ほう、マサルかぁ~。」
   「矢吹ぃ~、マサルは大人しそうに見えるかもしれんけど、こう見えても強えぇゾォ~~。」
   「ケッケケケケケ」

矢吹:「な、なんとなく、わかるよ..」

 

無気力を演じた僕が、ひとこと言い終わると同時に、いきなりマサルの拳が僕の顔面にヒットした。

僕は砂利に吹っ飛び、一瞬何が起こったのかわからなかったが、間髪入れずに、マサルの二発目も僕の顔面に直撃した。

もうその後は、全く僕は抵抗できずに、ボコボコにやられた…。

“反撃は絶対にしてはダメだ”ツ黴€ とは思っていたのだが、冗談抜きでマサルは強く、反撃なんてとても出来る相手じゃなかった。

マサルは怪力の持ち主だったのだ…。

僕はその後、地面に倒れ込み、背中を丸めて身を守った。

「ドコッ、ボコッ、ボコッ、ボコッ。。」

自分の体がサンドバックのようになっていく…

(痛い..)

(止めてくれ..)

「ドコッ、ボコッ、ボコッ、ボコッ。。」

僕の気持ちはお構いなしで、暴行は続いた。

遠くでツネと田中は、笑いながら僕がボロ雑巾のようになっていくのを楽しんでいた。

凄く時間が長く感じた…。

実は、この時、信じられない声が聞こえた…。

意識が薄れかけている中で、はっきりと声が聞こえた…。

「ご、ごめんな、、矢吹…。」

マサルが僕を殴りながら耳元で囁いたのだ!

その一言が何を意味しているのかは、瞬時に分かった。

僕は殴られながら、ニヤリとマサルの方を振り返り、、、









気が付くと、そこはツネの自宅だった。

ツネの自宅は、荒波中学の目と鼻の先だったのだ。

僕は誰かに担がれて、ツネの自宅に連れて行かれていた。

それは、間違いなくマサルだと思った。

いつの間にか、僕は気を失っていたのだった…。

(「ご、ごめんな、、矢吹…。」)

この声だけは、僕の記憶から消えてはなかった。

(つづく)

down

 

追伸:
嘘のような本当の話です。
このまま警察に行けば、そこそこの事件に発展していたと思います。
しかし、僕はこの後も、警察にも病院にも行きませんでした。
ビビったから?
んなことは、ないっすよ。
『やられたらやり返す!』
僕の中では絶対的なルールがありますからね。
次回、僕は警察にも病院にも行かずにこの場をやり過ごす真実を暴露します。
お楽しみに(?)^^;;;;;
いや、マジで面白いと思いますよ。

 

今日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
それではまた。

 

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