【第71話】タツヒコ再降臨 ~神のお告げ編~

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(これまでのあらすじ)

 

16歳で初体験を終えた矢吹。
初体験の相手の衝撃的な事実を知った矢吹は、付き合い始めてわずか1週間で彼女との結婚を決断した。
1年半後に訪れる高校卒業と同時に、荒れ果てた生まれ故郷を捨て、花の都“東京”へ彼女と駆け落ちをする計画を立てた。
この短期間で100万円を稼ごうと、矢吹の選んだ道は『パチンコ』。
極秘テクニックの実践で、いきなり月に50万以上を荒稼ぎすることに成功。
その後、失敗と挫折を繰り返すことになるが、なんとか安定的に収益を上げることができるようになった。
「よし、これで駆け落ちはなんとかなる!」
そう思った矢吹は、残りの高校生活で、彼女との同棲をスタートさせる。
このまま幸せな高校生活をエンジョイして、一気に彼女と駆け落ちできると思った矢吹だった。
ところがその後に大きな3つの事件に遭遇してしまう。
これらの問題は全て解決したが、これらの事件によって、愛を全うする駆け落ちではなく、半分脱出計画に変わって行っていた。
そして、最後の難関が矢吹を襲った。
それは、『お金』である。
100万を現金で貯めることは出来たのだが、計算ミスを犯し、後10万がどうしても足りない。

そこで、登場してきたのは、あの男だったのである。

 

続きをどうぞ。

 

~~~~~~~

 

“タツヒコって一体誰?”

 

本小説を途中から読まれている読者には、タツヒコが一体誰なのか分からないと思う。

そのような読者の方は、「【恋愛小説:第20話】タツヒコ伝説」をご一読いただきたい。

タツヒコとは、僕の亡き父のことである。

かなりの変わり者で、自らを “神” と呼んでいた。

当時、僕はアルコール中毒で暴力を振るう父を、心から憎み、幾度となく殺意を覚えたものである。

しかし、今となっては全てが良い思い出であり、亡くなってから父の優しさを感じるようになった。

そんな敬意を込めて、第20話は、お盆の時期、無意識に僕の父、故・タツヒコ氏のことを番外編として短編小説化したものである。

是非、第20話を読んでいただき、本話を読み進めていただきたい。

では、前回の続きからということで、タツヒコの会話から進めてまいります…

 

 

「おい、神の子、丈よ。お前に1枚の紙切れを授けよう。」

 

「この紙切れは単なる紙切れではない。お前の望みを全て叶えるものだ。」

 

 

タツヒコから渡された1枚の紙切れとは、抽選券だった。

 

お正月に町内の商店街で買い物をした町民に、千円で1枚、抽選券が発効されていた。

 

今日は、その抽選会ってわけだ。

 

抽選券を見ると、6桁の番号が印刷されていた。

 

裏面を見ると、1等は、10万円の現金贈呈と書いてある。

 

 

(「当たるわけなかろう..全く現金なオヤジだな..」)

 

 

そんなことを心の中で思いながら、あわよくば当たってくれれば、僕の問題(駆け落ち先での1ヶ月間の生活費)は解決するのにな..なんて都合の良いことが脳裏に過ぎっていた。

 

とは言っても、人口3万人強の苅田町である。

 

仮に1人平均1万円の買い物をしたと考えると、10枚の抽選券が発効される。

 

これに、3万人を掛けると、30万枚となる。

 

つまり、1等を当てるのは、300,000分の1の確率、すなわち0.0003%なわけだ。

 

(「やっぱり無理だ…」)

 

当時、パチンカーであった僕は、このように瞬時に確率を計算することを習慣化していた。

 

パチンコは、当時、標準的なセブン機で250分の1の確率であり、これを引き当てるのも容易ではなかった。

 

これを引き当てることよりも、実に1200倍も難しいのである。

 

そんなことを考えながら、僕は原チャリに乗って、駅へと向かった。

 

抽選会場となった駅近くの井筒屋の前は、人がごった返していた。

 

既に抽選は終了しており、当選番号と当選者の名前が大きく貼り出されていた。

 

僕はごった返しになった場所から、少し離れたところから、目を細めて抽選結果を見てみた。

 

既に2等と3等の当選者は確定しており、1等はまだ該当者がいない状況であった。

 

僕は、手に取った自分の抽選番号と1等の当選番号を照合してみた。

 

 

僕の抽選番号は、

 

「395483」

 

そして、1位の当選番号は、

 

「395483」

 

だった。

 

 

僕は一瞬、何かの間違いかと思った。

 

何度も何度も、手に持つ抽選番号と壁に掲げた当選番号を照合させた。

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間違いなく僕の手の中の抽選券は、1等であった。

 

僕は(正確にはタツヒコが..^^;;)、10万円を当ててしまったのである。

 

宝くじでも最高1万円しか当てたことがない僕だが(そもそも宝くじは買わないのだが)、この当選するという経験は、非常に不思議なものである。

 

この記事を読まれている読者の方は、宝くじの当選の瞬間のイメージを次のように持たれているのではないだろうか?

 

・恐る恐る1つずつ抽選番号を見ていく。
・最後の1つの数字が当たっているかどうかは唾を飲んで、目を閉じ、深呼吸する。
・ゆっくり目を開け、最後の1つの数字を確認する。
・そして、その1つの数字に大きく落胆するか、飛び跳ねて大喜びする。

 

いかがだろう?

 

何を隠そう、僕もこんなイメージを持っていた。

 

ところが、当選とは当選番号側から自らの脳裏に丸ごと飛び込んでくるイメージなのだ。

 

僕は見た瞬間から、1等を当てていることが瞬時にわかった。

※たった10万を当てた位で、ここまで当選者の心理を描写するバカも僕くらいでしょうね(笑)

 

「カラン、カラン、カラ~ン♪♪」

 

1等の当選券を差し出しに行った瞬間に、受付のおっさんが、

 

 

「おおお!1等当選!おめでとうございま~~す!!!!!!」

 

 

と大声で叫んで、大きな鈴を鳴らしたのである。

 

僕は顔から火が出そうな位に恥ずかしくなり、穴があれば入りたいという意味がこの時よく理解できた。

 

そして、壁に貼られた1等の当選番号の下に、僕の名前がデカデカとぶっとく書かれて張り出された。

 

 

(「うわっちゃー、これはヤバイっしょ!苅田・行橋の不良連中が見たら、タカリに来るやんか!!」(>_<;;)

 

 

と思い、周囲の町民の皆さんに一礼をした10万円の当選金を受け取り、慌ててこの場を立ち去った。

 

 


 

 

家に戻ると、タツヒコがすぐにやってきて、

 

 

「当たっとったか?」

 

 

と聞いてきた。

 

僕は少しうろたえたが、

 

 

「当たるわけないやん。」

 

 

と言葉を返し、そそくさと僕の “離れの部屋” へ入って行った。

 

部屋に入るなり、来ていたジャケットを脱ぐよりも先に、10万円の当選袋を無造作に空けた。

 

そこには、同じ表情の福沢諭吉が10人顔を揃えて出てきた。

 

 

(「オヤジ、すまん!この仮は必ず返すけん」)

 

 

そう心の中で唱え、僕は10万を壊れたスピーカーの裏側へ隠した。

 

以上が、再び登場したタツヒコのエピソード2である。

 

ちなみに、余談ではあるが、駅近くの井筒屋に張り出された1等の僕の名前が書かれた当選結果の張り紙は、夜遅くに剥がしにいったことを補足しておきます。^^;;

 

 

まさに、神業としか言い様がない。

 

僕は、タツヒコの生前に、最期までこのことを報告することが出来なかった。

 

もしかしたら、あの世で今日の記事を読んで発狂し、今晩あたりから夜な夜な僕の枕元にタツヒコが立つようになるかもしれないので、ここでタツヒコに言っておきたい。

 

 

「オヤジ、半年前に買ったオヤジの仏壇の一部のお金は、この時の10万なんよ!」

 

 

ありがとう、タツヒコ。

 

安らかに眠ってください。

 

 

こうして、僕は、なんとか駆け落ち先での生活も保障されたのであった。

 

 

(つづく)

 

 

lucky

 

 

追伸:
いやぁ~、年末のこの時期に、またタツヒコを降臨させてしまいました。
浮りゆファン、というか、タツヒコ・フリークにはたまらなかったのではないでしょうか?(笑)
そして、皆さん!遂に、遂に、、、ノンフィクション恋愛小説は、次回、最終回を迎えます。
最終回は、時間を30分延長して、ぢゃなくって、長文でお届けしますので、明後日ではなく25日の朝、クリスマスの日にお届けします。
ステキなパートナーと一緒に、最終回を朗読していただければと思います。
お楽しみに♪^^

 

 

 

今日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
それではまた。

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