【第08話】悩める少年

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バイトを終え、自宅に戻った。

僕は、遅い夕食をさっと済ませ、湯船に浸かりながら、今日のバイト先での出来事を振り返っていた。

yubune

この日は、バイト先の2mの扉を開けた瞬間から、いつも通りの日常となったのだった。

バイトに行くまでの高揚感は、少しずつ不安感に変わっていった。

黙々と陳列棚へ野菜を並べる僕。

時折、斜め後ろを振り返り、彼女の様子を伺ったが、彼女は普通に接客をしていた。

4、5回に一度、僕の視線に気付いてくれ、ニコっと笑顔を返してくれるいつもと変わらない彼女。

「大好きな~」は、一体何だったんだろう…

交換日記は、いつものようにスーパーの出入り口で、退勤時にいつも通りそっと彼女に手渡したのだった。

時計の針は、既に0時を回っていた。

この日は2時間近く風呂に入っていたように思う。

結局、答えは見つからないまま、タンクトップとトランクスに着替えて自分の四畳半の畳部屋に戻った。

当時、中森明菜が好きだった僕は、窓の擦りガラス一杯に張った『明星』という雑誌から切り抜いた明菜を、彼女と頭の中で重ね合わせながら見めていた。
雰囲気が良く似ていたのだ。

僕は、いつか訪れるであろう彼女との未来の予行練習のつもりで、毎晩明菜の赤いルージュでテカった唇にそっとキスしていた。

ところが、今日の僕は、明菜にキスをする気持ちになれず、ずっと明菜の流し目な思わせぶりな瞳を睨んでいた。

睨んだところで、明菜が何かアドバイスをくれるわけでもないが、何か彼女の気持ちを探る手掛かりが、明菜の瞳の奥に感じ取れるのではないかと思っていたのかもしれない。

どのくらい、そんな妄想めいたことに時間を費やしていたのはわからないが、その後は、布団も敷かずに、畳の上にゴロリと寝っ転がって天井を見た。

天井には、背景が黄色い等身大の小泉今日子のポスターを斜めに貼ってあり、背景と同じ黄色いハーフパンツを履いたキョンキョンが満面の笑みで僕を見ていた。

(キョンキョン、ごめん。。今日は、オレ、笑える気持ちじゃないんだ…)

僕のキョンキョンのファン歴は長く、『マイ・ファンタジー』という’82年に発売されたファースト・アルバムから全てのアルバムを揃えていた。

キョンキョンは、既に妄想の中の恋人と化していた。

つまり、明菜や彼女は、僕の2号さんというわけだ。
※って、んなこと誰も聞いとらんがな!!^^;;脱線しとるっちゅーの!

それにしても、納得できない。

あんなこと(「大好きな矢吹くん」)を日記で書いておきながら、どうして彼女はいつもと同じ笑顔しか僕に返してくれなかったんだろう?

僕のイメージの “頬を染める彼女” ではなかったとしても、”大好き” が本当ならば、せめてウインクの一つや二つ、もしく投げキッス(これはない!!妻はそんなタイプじゃない^^;;)くらいは返してくれても良かったんじゃないのか?

それとも、そんな気なんて最初っから全く無くって、年下のオレのことをガキんちょ扱いしておちょくったんじゃないか?

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様々な憶測が頭を駆け巡っていた。

結局は、彼女の心理を特定することなんてできるわけがなく、時間だけが過ぎていっていた。

「は!?そうだ!!」


「大好き」事件よりも、もっと気になることがあった!!!!!

それは、今日の僕の書いた交換日記を読んだ後の彼女の心理だ…(>_<;;

「 僕も大好きだ!!!葉子 ※仮です
愛してるぜ~~!!!!!! 」

思い出すだけで顔から火が出そうだ…

彼女は今頃、僕の返した日記の記事を読んで、どんな気持ちになっているんだろう…

bakusyou
爆笑しているのか…

tere2
照れているのか…

これは、透視の超能力があれば、目を瞑って以心伝心がしたいくらいに、僕にとっては重要なことだった。

だが、当時の僕は、何もすることはできず、悶々とした思いで、単調に刻む時が過ぎるのを待つしかなかった。

昨夜、一睡も出来なかったこともあり、僕は畳の上でそのまま朝を迎えたのだった。

(つづく)

 

※次回、一気に急展開が始まります!
彼女は、日記を読んで何を思い、どんな行動を取るのか?
矢吹くん(仮称)は、この展開にどう立ち向かうのか?
お楽しみにっ♪

 

追伸:
「時間は常に過ぎている」
当たり前のことを書いてしまいましたが、実は昨日、凄く後悔した事件が起こったのです。
博多駅に下車して、アミカス高宮へバスで向かおうとしたほんの数十秒の出来事でした。
短めのスカートを穿いた女子高生と思われる女性の後ろを付いていく30代半ばの男がいました。
女子高生はそのまま上りのエスカレーターに乗ったのですが、男もその子の後ろをピタっとマーク。
“なんだか変だな” と思い、僕は結構距離のあるこの光栄を見ていたのですが、男はエスカレーターに乗った後に何度か周囲をキョロキョロした後、少ししゃがんで靴の紐を締め直すフリをして、
すかさず女子高生のスカートを覗いたのです!
僕は “この変態男が!” と心の中で思ったのですが、特にアクションを起こさずにやり過ごしてしまいました。
距離にして200m位離れていたと思うのですが、大声で「痴漢だー!!」と叫ぶこと位はできたはず。。
サーファーの頃、近所の海まで行く裏道で、カーS○Xをしている真っ最中に出くわしたことはあったのですが、痴漢現場を見たのは今回が初めてでした。
本当にこんなことってあるんですよね。
常に勇気を持つ。
今度は、絶対にアクションを起こします!!(>_<)
女性の皆さん、この時期の薄着には気をつけてください。

 

今日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。

それではまた。

 

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