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(これまでのあらすじ)
16歳で初体験を終えた矢吹。
初体験の相手の衝撃的な事実を知った矢吹は、付き合い始めてわずか1週間で彼女との結婚を決断した。
1年半後に訪れる高校卒業と同時に、荒れ果てた生まれ故郷を捨て、花の都“東京”へ彼女と駆け落ちをする計画を立てた。
この短期間で100万円を稼ごうと、矢吹の選んだ道は『パチンコ』。
極秘テクニックの実践で、いきなり月に50万以上を荒稼ぎすることに成功。
その後、失敗と挫折を繰り返すことになるが、なんとか安定的に収益を上げることができるようになった。
よし、これで駆け落ちはなんとかなる!
そう思った矢吹は、残りの高校生活で、彼女との同棲をスタートさせる。
このまま幸せな高校生活をエンジョイして、一気に彼女と駆け落ちできると思った矢吹だった。
が…。
ある土曜の深夜に掛かった1本の電話から事体は急変するのだった。
深夜に他のクラスのヤンキー3人組に呼び出され、ボッコボコにされてしまった。
意識を失った矢吹が目覚めた場所は…
~~~~~~~
気がついたらツネの部屋にいた。
ツネの自宅は、荒波中学の目と鼻の先にあったので、誰かが僕を担いで連れてきてくれたことは間違いない。
僕はどこからどうやって、この部屋に入ったのか全くわからなった。
一体どこで記憶が飛んだろう?
今時間は、一体何時なんだろう?
(「ご、ごめんよ、矢吹…」)
このマサルの声だけが、ずっと記憶から離れない。
マサルは、好き好んでここに居るんじゃないんだ…。
そういえば、彼女は心配してるだろうな…。
僕の帰りを寝ないで待っているに違いない…。
せめて、彼女とは連絡を取りたい…。
当時、携帯電話なんてものはなかったので、どうしようもなかった。
ツネの部屋の壁時計を見ると時間は4時を回っていた。
(コイツら、土曜の夜は、毎晩オールでこんなことやってんだな…)
目の前には3人が胡坐(あぐら)を掻(か)いて座っていて、見たこともない女どもが数名部屋に入ってツネらと一緒にタバコをふかしていた。
ボコボコに顔を腫らした僕には全く興味がない様子で、ツネや田中の女といった感じだった。
一人パシリのような男がいて、そいつは僕がヤレられる前にツネにヤラれた化学科の男だった。
この男が、ツネや田中、マサルに酒を注ぎで周っていた。
女たちは、全く動こうとはせずに、ツネや田中に甘えている様子だった。
完全にここは、ツネ達の “館(ヤカタ)” と化していたのだ。
多分、僕達が居なくなると、ここで乱交パーティーでもやっているんだろう。
そんな感じが、プンプンしていた。
そして、ツネが僕に話しかけた。
ツネ:「矢吹ぃ~、今日から俺達は兄弟やのぉ~」
矢吹:「・・・」
僕は下を向いたままだったが、軽く会釈をしてみせた。
ツネは続いて、一言、僕に釘を差して言った。
ツネ:「いいか、矢吹、このことは誰にも言うなよ。」
矢吹:「・・・」
「わかってる…」
下を向き、嫌々ながらに小声で返事をする僕。
もちろん、これも演技の一つだ。
僕は、なぜコイツらが、こんなことをして勢力を伸ばそうとしているのかということに興味が出ていた。
なぜなら、コイツらの存在は高校では多少目立って来てはいたものの、まだまだ彼らの存在を知っているという同級生は少なく、それよりも生徒会長の”清次”(仮称)や、副会長の”出口”(仮称)の存在が際立って目立っていたため、何を今更って感じだったのだ。
※僕の高校は、生徒会の連中がこれまた強烈だったのだ。
生徒会長の清次は、親が強烈な極悪非道人で、裏家業で富を築いているいう噂を聞いていた。
行橋では知らない者が居なかった。
清次は、親の会社の従業員が毎朝、外車のムスタングで送迎していた程で、朝から校門はちょっとしたギャラリーが出来ていたほどだ。
高校ではバリバリに目立っていた。
背も高く、喧嘩も相当に強かったことを覚えている。
卒業後に”SEIJI”という名前そのまんまのカーショップをオープンさせ、いきなりそこの社長をやっていた。(※今は潰れている…)
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また、僕の高校がある街(僕が生まれ育った街でもある)は、かなりガラが悪く、高校の中で虚勢を張るツネ達の存在は、全くと言っていい程に影の薄い存在だった。
ツネは更に次のように言った。
ツネ:「矢吹、これからお前は、仲間になったわけだから、土曜の夜はここに来い。」
「こうやって酒の宴(うたげ)に参加しろ…」
僕は無抵抗を演じ、黙って首を縦に振った。
(まあ、暫くは様子を見ないといけないな)と思った。
きっと、僕や科学科の男のように、これから自分達が気に入らない奴らを夜な夜な一人一人呼び出してボコボコにした上で、舎弟を増やして行く計画なんだろう…。
なんとも単純で浅はかな発想だと僕は思った。
僕は、科学科の男のように、すんなり舎弟になんてなる訳がなく、今後はスパイとなり、ツネ達の懐に忍び込み、弱みを掴んで反撃してやろうと思っていた。
ツネ:「ものわかりが早いヤツは、オレは好きだぞ、矢吹。」
「ほら、お前も飲め!」
「おい、矢吹に酒を注いでやれ。こいつは今日から兄弟や。」
化学科の男が、僕のグラスに酒を注ぐ。
その後、僕はツネと乾杯して、グッと一息に酒を体に流し込んだ。
僕は、悪ふざけで小学校の頃に酒を飲んだことがあったが、その後はタバコは吸っていたが、酒を飲んだことはなかった。
口の中も切れていたこともあって、酒を一気に飲むのは厳しく、思いっきりむせ返った…。
「ゴホゴホっ…ゴホホ..。オエェ~~」
酒を交わした途端、ツネの傍にいた女がオレに気遣い、布巾(ふきん)を取って、僕の足にこぼれた酒を拭こうとしてくれた。
僕は、その女の布巾を黙って取り去り、自分の足を拭いた。
(汚らわしい、バカ女。汚ねぇ、手で、オレに触るんじゃねぇ!)
この頃から、既に僕は他の女に触れることを拒むようになっていたようだ。
これを見たツネが、凄い剣幕で僕にこう言った。
ツネ:「おい、コラぁ~!調子に乗んじゃねぇぞ、矢吹ぃ~~!!」
更に、こう言った。
ツネ:「お前の女、オレが犯すぞ!!」
ツネは、僕は彼女と付き合っていたことを知っていたことが、この時、初めてわかった。
(オレの女をコイツが犯すって!?)
この瞬間に、僕はスパイをやることを取り止めたのだ。
というよりも、僕の脳がそう決めた。
“僕の彼女を犯す” という言葉が、頭の中で連呼し始めていた。
“僕の彼女を犯す”
“僕の彼女を犯す”
“僕の彼女を犯す”
“僕の彼女を犯す”
“僕の彼女を犯す”
:
:
そして、僕の脳の司令塔は、次のような指示を僕に送った。
コイツを “殺(や)っちまえ!”
(つづく)
追伸:
この記事を書き終わった今、僕は当時の事を思い出して興奮しています。
コレ、本当に真面目な話なんです。
いやぁ~、マジでしたよ。
僕の小説を読んで下さっている方は、僕がこの気持ちになった心理を理解してくれると思います。
そうです。
僕は、彼女のためなら死ぬ覚悟が出来ている男だからです。
そして、正直に申しましょう。
今でも、この気持ちは変わりません。
更に、このドラマは過激になります。
至って普通の僕なのですが、女房と子供の事になると、ヤクザな男になります。
今日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
それではまた。
皆さんの1クリックに感謝します。m(__)m
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