【第68話】2つの謎[後編]

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※※※ はじめにお読みください ※※※
今回の記事は、ちょっと一部の内容に危険性が伴うため、一部町の名前を変えています。ご了承願います。

 

 

(これまでのあらすじ)

16歳で初体験を終えた矢吹。
初体験の相手の衝撃的な事実を知った矢吹は、付き合い始めてわずか1週間で彼女との結婚を決断した。
1年半後に訪れる高校卒業と同時に、荒れ果てた生まれ故郷を捨て、花の都“東京”へ彼女と駆け落ちをする計画を立てた。
この短期間で100万円を稼ごうと、矢吹の選んだ道は『パチンコ』。
極秘テクニックの実践で、いきなり月に50万以上を荒稼ぎすることに成功。
その後、失敗と挫折を繰り返すことになるが、なんとか安定的に収益を上げることができるようになった。
「よし、これで駆け落ちはなんとかなる!」
そう思った矢吹は、残りの高校生活で、彼女との同棲をスタートさせる。
このまま幸せな高校生活をエンジョイして、一気に彼女と駆け落ちできると思った矢吹だった。
ところがその後に待ち受けていたのは、次の大きな3つの事件であった。

[その1] 他クラスのヤンキー3名による夜襲事件
[その2] 地域No.1不良「ケント」の子分よる深夜の嫌がらせ事件
[その3] 同級生バイク事故死を発端とした大抗争事件

しかし、その後に事件は何事もなかったかのように起きなくなり、矢吹は普通の高校生活を送るようなっていた。
そんなある時、この平和が訪れるようになった謎を知ったといって親友・ヨシノリが、放課後に僕の部屋にやってきた。
謎は2つに分かれており、1つは行橋の不良連中を止めた理由、そして、もう1つは苅○の不良連中を止めた理由でだった。
行橋の謎は、なんと宮里さんがT組に入り、行橋の動きを止めてくれたのだった。
そして、もう一つの謎、苅○の方はFさんという僕の彼女の男友達が介入してくれたというのだ。
Fさんとは一体…。

 

続きをどうぞ。

 

~~~~~~~

 

苅○の不良連中から、僕が狙われなくなったのは、彼女の男友達のFさんのお陰だったのだ。

 

僕は、彼女に暗闇の半年間の出来事を語ったあの日の夜のことを思い出していた。

 



 

彼女の僕に対する想いと行動を知った僕は、その夜、泣き崩れた。

 

泣き崩れた僕を横目に、黙って彼女は闇夜に消えた。

 

Fさんが苅○の不良連中の動きを止めてくれたことを知った僕は、あの日の夜、彼女はFさんのところへ行ったんだと直感した。

 

彼女は僕のことを、Fさんに相談してくれたに違いない

※ちなみに、補足しておこう。

“この当時、Fさんは山口県に住んでいたのである。”

※どうしてFさんが山口県に住んでいたのかは後述するが、
あの日の夜に本当に彼女はFさんのところまで僕の相談に行ったのだとしたら、
最終列車でなければ間に合わなかったに違いない。
そうなると、山口県から福岡県までは、その日の内に戻ってくることは出来なかったことになる。
つまり、彼女は・・・。色々と想像するのは止めてよう。僕には、過去のことはどうでもいい話だ。

 

では、なぜFさんに、当時の苅○の不良連中の動きを止めることが出来たのだろう?

 

元・暴走族の頭だったから?

 

一体、いつの時代の話というのだ。

 

Fさんは、僕よりも5つか6つは離れている。

 

不良世代はとっくに世代交代し、当時の苅○町の不良連中とFさんが密接な関係にあったとは考え難い。

 

昔、暴走族の頭をやっていたからといって、現役世代の不良連中に指示を出し続けることができるほど、権威を誇示できる世界ではないこと位、僕だって知っていた。

 

唯一、現役世代の不良連中をコントロールできるのは、宮里さんのような暴力団関係の道に進んだ者だけなのである。

 

 

と、ここで、僕は、彼女に見せてもらったFさんの過去の写真の何枚かが頭を過ぎった。

 

アルバムの中の写真は、彼女と一緒に写っていたFさんの暴走族時代のものがインパクトがあり過ぎ、その他の写真は僕の記憶には残っていないと思っていた。

 

ところが、Fさんのある一枚の写真だけは、暴走族時代のものではないのに、記憶に残っているものがあった。

 

それは、Fさんの彼女とFさん自身のツーショットの写真だった。

 

季節は夏。

 

山口の山陰の海岸沿いで、麦わら帽子を被り、白いワンピースを着た女性の腰に左手を回して、右手でVサインをしているFさんがそこに居た。

 

この写真は、2つの奇怪な箇所があった。

 

一つは、女性の腰に手を回したFさんの左手だった。

 

そして、もう一つは、大きくVサインとしたFさんの右腕の肩の付近の模様だった。

 

女性の腰に手を回し左手の小指は短く、また、白いポロシャツの脇から見える右肩の模様は、“刺青” だった。

今でこそ、タトゥー(刺青)は、若者間では、「ボディーアート」=「ファッション」として定着しているので物珍しさはないが、当時は刺青=あっち系の職業の人が当たり前の構図を示していた。

Fさんのそれは、明らかにあっち系の職業ということを象徴していたのだ。

僕の彼女からは、Fさんは山口県に住む彼女と結婚を前提とした付き合いをしているために、仕事も山口県にしていると説明を受けていた。

この説明を聞いた時は、

「Fさんも愛している女のためなら、そんな行動も取るんだな。
 じゃあ、わざわざ毎週、山口からここまで遊びに来ているのか~。」

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な~んて、呑気に考えていたのだが、今はここに深い謎があるんだと思った。

つまり、Fさんは愛する彼女の近くに住むために福岡を離れ、本州である山口に引っ越したのではなく、山口に姿をくらまさなくてはならない何らかの事情があったに違いないと思ったのである。

 

(ここからは、僕の推論になります)

 

僕は、次のように考えた。

 

・Fさんは、今でこそカタギの人間になっているが、北九州の元・暴力団組員であった。
・何らかの事情で組を辞めることになり、指を詰めた。
・その後、何かから逃げるか、身を隠すために、山口への住居を変えた。

 

上記は、1枚の写真からの推測であるが、ほぼ間違っていない推論だと思う。

 

しかし、どうも、こんな単純な理由ではないのだろうと思った。

 

カタギの人間になっていたとしたら、今回、苅○の不良連中共に指示なんて出せるわけがない。

 

Fさんは、まだ何らかの形で苅○町内の闇の世界の権力を握っているに違いないと僕は思った。

 

過去の記事にも書いたが、当時の苅○町は、町全体が乱れており、色々な事件が連続的に起こっていた。

 

密輸や密売がよくニュースで取り上げられていたし、友達Yの住む近くのラブホテルではバラバラ殺人事件等もあった。

 

僕自身は苅○港で錆付いた拳銃や血のりの付いたドスを拾ったこともあったことは、少し前の記事でも書いたが、

 

その他には、苅○町長の汚職事件等もあった。
※Yahoo!で「苅○町長 汚職事件」と検索すれば、この当時のニュースが山のように出てきます。

 

また、当時の町会議員の息子もバリバリの不良だったことも事実であり、親が町会議員に立候補しているというのに、その息子はシンナーを吹いたり、カツアゲしてるという有様だった。
※それでいて多くの獲得票を得て、町会議員として当選していたのだから、これを不思議に思わない方がオカシイ…。

 

更に、この当時の苅○はH組という暴力団が町全体を牛耳っており、こちらの世界でも様々な噂が飛び交っていた。

 

その中で有名な話は、替え玉事件である。

 

ある事件が起きたら、事件を起こした当人ではなく、別の人を当事者にするというものである。

 

ここではこれ以上、深い話はできないが、こんなことが水面下で頻繁に起こっていた時代だったのである。

 

これは、本当に推論となるが、Fさんは、何らかの事件に関与していたのではないかと思う。

 

山口県に身を置かなければならない、何らかの事情があったのではないだろうか?

 

つまり、一線から退いているように見せて、実は闇の世界を牛耳る一人として君臨し続けていたのではないだろうか?

 

指を詰め、カタギの人間になったように見せかけて、本当は今だにその存在は健在且つ存在感があり、町全体の表向きの組織だけではなく裏の組織もコントロールできる力を持ち続けていたのではないだろうか?

 

だから、苅○に頻繁に来ていたのではないだろうか?

 

Fさんの彼女は、バツイチと聞いてた。

 

しかし、僕は何かFさんの彼女も普通の女性のようには見えなかった。

 

白いワンピースを着たり、麦わら帽子を被ったりして、普通の女性を装っていたが、
僕はもっと派手なブランドの服をいつもは着ているような、、そんな風に映るのだった。

 

そして、何か影があった…。

 

バツイチではなく、未亡人のように見えていた。

 

彼女には2人の子供が居たそうだが、どうもFさんが何らかの事情で彼女と2人の子供をかくまっているように見えていた。

 

(更に僕の推論だが….)

 

もしかして、Fさんは何らかの抗争事件に関与しており、H組の大物幹部が殺害され未亡人となった女性と子供をかくまっているのではないだろうか?

 

Fさんは、山口県の小さな工場で働いているとのことだったが、乗っている車も排気量の大きな重圧感のある真っ黒のスモークを貼った車に乗っていたし、明らかに小さな工場での働くようなタイプには見えなかった。

 

このような推測が当たっているとしたら、今現在の苅○の不良連中の動きを止めること位、一言で終わる話だろう。

 

結局のところ、真相は謎のままだが、僕の集団暴行事件が急に治まった背景には、このような水面下の動きがあったことだけは事実なのであった。

 

そして、僕はこのヨシノリの報告で、あらためて決意を固めた。

 

 

 

 

 

「この街を捨てて、絶対に彼女と駆け落ちをしよう」

 

 

 

(つづく)

 

tatto

 

追伸:
この恋愛小説をスタートさせた時に、僕がお伝えしたことを覚えてる方はどの位いらっしゃるでしょうか?
「僕の駆け落ちは決して美しい駆け落ちではありません」と、
お伝えしていたと思います。
今日の記事を読んでいただければ、その真相がお分かりになったことと思います。
僕は負け犬であり、この汚れきった街を捨てたんです。
表向きは、”彼女と駆け落ちをした” と言っていますが、
本当は、”彼女を連れて逃げた” という言い方が正しいのです。
こんな情けない僕ですが、もう少し付き合ってやってください。
最終回まで後少しです。

今日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
それではまた。

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