【第49話】逆襲前夜

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(これまでのあらすじ)

16歳で初体験を終えた矢吹。
初体験の相手の衝撃的な事実を知った矢吹は、付き合い始めてわずか1週間で彼女との結婚を決断した。
1年半後に訪れる高校卒業と同時に、荒れ果てた生まれ故郷を捨て、花の都“東京”へ彼女と駆け落ちをする計画を立てた。
この短期間で100万円を稼ごうと、矢吹の選んだ道は『パチンコ』。
極秘テクニックの実践で、いきなり月に50万以上を荒稼ぎすることに成功。
その後、失敗と挫折を繰り返すことになるが、なんとか安定的に収益を上げることができるようになった。
よし、これで駆け落ちはなんとかなる!
そう思った矢吹は、残りの高校生活で、彼女との同棲をスタートさせる。
このまま幸せな高校生活をエンジョイして、一気に彼女と駆け落ちできると思った矢吹だった。
しかし、ある土曜の深夜に掛かってきた1本の電話から事体は急変するのだった。
深夜に他のクラスのヤンキー3人組に呼び出され、ボッコボコにやられてしまったのだ。
しかし、この主犯格のツネのある一言が、矢吹を逆上させる。

「殺(ヤ)られる前に殺(ヤ)ったる!」

タンスの奥にしまっていたドスを取り出し、砥石で磨き始めた矢吹。

やるのか!?お前の人生、どうなる!!??矢吹ぃ!!!!!!!

~~~~~~~

 

タンスの奥にしまっていたドスを取り出した矢吹。

このドスは、親父「タツヒコ」のコレクションの一つであった。

タツヒコは、この他にも、何本か等身大の日本刀も持っており、時代劇を見ているとき、酔いがヒートアップした時に、たまに日本刀を取り出してブン回していた。

「オイ、ジョー!オレに元気を出させると、お前の首もこれで刎(は)ねちゃるけの!大人しく言う事、聞けよ!」

なんてことを平気で口にしていた。

“元気を出させる”

これは、当時、僕の中では非常に危険なメッセージだったのだ。
実際、何度か酒の力で元気になり、かなりド派手にタツヒコにやられたことが何度もあったからだ。

この日本刀が、本物か偽物(レプリカモノ)なのかは、当時の僕には見分けが付くはずもなかったのだが、タツヒコはよく縁側に胡坐をかいて日本刀を砥石で研いでいたため、常に切れ味の良いカタナがあったことは事実だ。

充分に人を斬ることはできたと思う。

この行為は明らかに違法であることは、今なら分かるが、当時の僕は、背中に桜吹雪の舞う東山の金さん(ヤの付く自由業のお方ですね^^;;)が近所に何人も居たことで、この街ではこういうことが許されるのだと思っていた。

※3年前親父が他界した時に、町営住宅の部屋の掃除をしたのだが、
いやぁ~、出てくる、出てくる、たっくさ~~んの日本刀が何本も出てきましたよ。
すべてしっかりと研がれていましたねぇ~(笑)
無念だろうねぇ~、実際に使うことなくあの世に逝っちゃったからねぇ~…。
タツヒコさん。^^;;
一応報告なのですが、掛け軸と一緒にお掃除業者さんに一式お渡ししました(笑)
恨んで僕の枕元に立つようなことは止めてくださいね、タツヒコさん♪♪(*^^*)

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今回、僕が手にしたドスは、タツヒコ’ズ コレクションの1つだったのだ。
無断で借用してしまったことをこの場をお借りしてお詫びしたい。
父ちゃん、ごめんよ。^^;;

でも、まあタツヒコさんにとっては、ドスはコレクションの中でもサブ的な扱いだったはずです。
お袋は、この存在すら知りませんでしたから。
僕はオヤジが隠していたエロ本を探している時に、タマタマ見つけちゃったんですよ、真っ白なサラシに巻かれたドス君をね。ホ~ホッホホ^^;;;;;

すみません、お話しを元に戻します。^^;;

 

砥石でドスを研ぎながら、僕は “どうやったらツネをヤれるか?” このことばかりを考えていた。

・今度の土曜日にツネのところに呼び出されるので、その時にひと思いにヤルか?
・まだまだ、ツネのことを探るべきか?
・コチラも仲間を増やして、やられたことをやり返すか?

 

時間が経てば気持ちが冷めるというが、僕は時間が経つにつれ、益々気持ちが高揚していった。

“俺を舐めるなよ、ツネ”

このまま、この高まる気持ちを抑えるのは難しそうだ。

考えすぎると、本気で殺人計画にまで発展しそうな予感がした。

考えるよりも行動が先に立つのが、僕の性格だ。

“よし!考えても仕方ない。
  今度の土曜日に実行に移す!!”

僕は腹を括(くく)った。

土曜日までには、あと数日あったが、僕はなるべく目立った行動を謹み、腫れあがった顔を隠すように下向き加減で日々を過ごした。

この間、彼女とは普通に夜を過ごした。
※こんな状況でも、毎晩僕の息子ちゃんがギンギンでした!^^;;

この事件は、時間と共に飽和していくと彼女は思っていたに違いない。

 

しかし、僕は水面下で、土曜の夜が訪れることをジッと待っていたのだ。

刃渡り20cmのドスは、刃先が蛍光灯の光に反射し、青白い光沢を示しており、

“早くアイツ(ツネ)の血を吸わせてくれ”

と言っているようにも思えた。

僕は、心穏やかで、気持ちのブレは微塵もなかった。

“やったるぞ”

僕は本気だった。

決行は、土曜日の夜だ。

時間は、確実に刻まれていた。

 

(つづく)

tsune

(待ってろよ、ツネ!って、違うやんこの写真^^;;)

 

追伸:
今回はあえて短めに記事をまとめています。
決行前夜ってことで。
次回、いよいよ逆襲となります。
ご期待(?)ください!

 

今日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
それではまた。

 

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