【第59話】挫折

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(これまでのあらすじ)

 

16歳で初体験を終えた矢吹。
初体験の相手の衝撃的な事実を知った矢吹は、付き合い始めてわずか1週間で彼女との結婚を決断した。
1年半後に訪れる高校卒業と同時に、荒れ果てた生まれ故郷を捨て、花の都“東京”へ彼女と駆け落ちをする計画を立てた。
この短期間で100万円を稼ごうと、矢吹の選んだ道は『パチンコ』。
極秘テクニックの実践で、いきなり月に50万以上を荒稼ぎすることに成功。
その後、失敗と挫折を繰り返すことになるが、なんとか安定的に収益を上げることができるようになった。
「よし、これで駆け落ちはなんとかなる!」
そう思った矢吹は、残りの高校生活で、彼女との同棲をスタートさせる。
このまま幸せな高校生活をエンジョイして、一気に彼女と駆け落ちできると思った矢吹だった。
ところが2つの大きな事件に遭遇してしまう。
[事件-その1] 別のクラスのヤンキー3名に夜襲に遭い、ボコボコにされてしまう。
[事件-その2] 地域No.1の不良「ケント」の子分に夜な夜な嫌がらせ受ける。
2つ目の事件はケント当人の登場により完全に収束。
最初の事件は問題未解決のままとなっていたが、
なんとかこのまま平和な高校同棲生活をやり過ごせるだろうと思っていた矢吹だったのだが、他のクラスの同級生のバイク事故死という惨事から更なる悲劇が…

続きをどうぞ。

 

~~~~~~~

 

2、30人のヤンキー達に囲まれたのは、後にも先にもこの1度だけだった。

 

 

——–

矢吹:「お前らや、俺らみたいに、夜な夜な単車転がしている連中が事故んなくて、
都丸のような真面目な奴が運悪く死んだんだ。ちゃんと黙祷しろって!」

——–

 

 

僕のこのたった一言の言葉を、

 

 

「お前ら不良が死なないで、マジメな都丸が死ぬのはオカシイ」

 

 

という風に解釈されてしまったのだ。

 

 

呼び出された剣道場は、なんとも異様な空気が漂っており、多くの人間達の怒りと殺気を僕は感じていた。

 

この状況で、どんな言い訳をしても、2、30人のうちの一人の耳にも、僕の言葉が入ることはないだろうと思った。

 

僕は、完全に諦めた。

 

誤解した中井を恨むことはせず、誤解をさせた自分の言動を恥じた。

 

 

(「これは、もうボコボコにされても仕方ない」)

 

 

そう自分自身に言い聞かせた。

 

僕は、周囲を見るのを止め、下を向いた。

 

 

“殺すなら殺せばいい…”

 

 

僕は、失意のどん底に叩き落された。

 

 

~~~ ここで、僕の今の想いを述べます ~~~

 

失望なんてものは、一瞬でやってくることを知った。

 

どんなに調子が良いと思っても、どんなに自分はツイていると思っても、
落ち込む時は一瞬で落ち込む。

 

それが人生だと思う。

 

今になって、当時の自分のことを冷静に見ると、なんとも情けない心理状態になっていたと思う。

 

過去の人類の歴史を振り返ると、大なり小なり、多くの争い事が起こり、多くの人達が命を落としている。

 

しかし、この中には、最後まで人生を諦めずに生き抜いた者達もいる。

 

こんな彼らは、後に “英雄” と呼ばれ、歴史に名を刻んだ者を多い。

 

僕は、この高校生のこの事件で、1度、生きることを諦めた男だ。

 

“愛する人” が居たにも関わらず、殺されてもいいと思った精神力の低い男である。

 

また僕は、この小説を書く8年前には鬱になり、社会人になってからも、1度、人生を諦めようとした男だ。

 


 

しかし、この2度に渡る挫折が僕に勇気を与えてくれた。

 

実力も能力も才能のない僕に、生きる希望を与えてくれた奇跡の出来事が起こったのである。

 

この日から、僕はなんとして、自分に起きた出来事を1人でも多くの方にお伝えしたいと思うようになった。

 

このブログを立ち上げた理由も、その一つなのである。

 

ノンフィクション恋愛小説はこの後も続きますが、この奇跡の出来事を、恋愛小説の後に記事にしたいと思っています。

 

それでは、続きをどうぞ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

そんな僕の気持ちを踏みにじるかの如く、2、30人の中から一人の男が僕の前に出てきた。

 

それは、江口(仮称)だった。

 

江口は、身長が185cm程あり、中学時代はバスケをやっていた男だ。

 

甘いマスクをしており、当時人気絶頂のチェッカーズの藤井フミヤに似ていた(僕はフミヤよりもカッコイイと思っていた)。

 

髪型は、ボリューム感のあるリーゼント頭で、先っちょの前髪を垂らし、この部分だけを金髪に染め上げていた。

 

服装は、気合いの入った超短めの短ランに、思いっきりぶっといボンタンをコシ履きしており、当時のヤンキー・スタイルの象徴であった。

 

左耳のピアスも、むちゃくちゃ似合う男だった。

 

僕も短ラン&ボンタン&リーゼントと同じだったのだが、気合いは断然、江口の方が遥か上を行っていた。

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※僕はピアスは空けていません。タトゥーもなし。
この理由は、以前記事に書いていますが、親から授かった体にメスを入れることを嫌います。

 

そんな江口が、ポケットに手を突っ込み、僕を上から見下すようにジッと睨んでいた。

 

江口の目ツキは鋭く、目力があり、彼の方を見た僕は、その威嚇さに恐怖を感じ、サッと目を逸らした。

 

その瞬間だった。

 

江口の左ストレートが、僕の顔面を直撃した。

 

 

「バキッーーーン!!」

 

 

鈍い音がして、僕は左後ろに倒れこんだ。

 

同時に、僕の口から何かがふっ飛んでいった。

 

そして、口と鼻から真っ赤な血が大量に出始め、剣道場の床に僕の血が飛び散った。

 

口の中の違和感は、すぐに何なのかがわかった。

 

前歯の隣の歯が、一発のパンチで抜け落ちたのだった。

 

僕は一瞬意識を失いかけていたが、頭上に飛んでいった抜けた歯を、手探りで探した。

 

歯は、すぐに見つかり、急いで作業着(この日は、午後から作業実習だったので作業着に着替えていた)の胸ポケットに、抜けた歯を無造作に押し込んだ。

 

と、同時に間髪入れずに、江口のキックが今度は僕の腹に直撃した。

 

僕は、むせ返り、息が出来ない状態となって、エビのように体を丸めた。

 

江口は、次に、上からかかとで僕の横腹を何度も思い切り踏み付けてきた。

 

何度も何度も、僕を踏み付けながら、江口は叫んだ。

 

 

「てめぇに、ダチを亡くした俺たちの気持ちがわかるか!!おぉ~~!!」

 

 

僕は何も抵抗せずに、ただ暴行を受け続けた。

 

後で、聞いた話によると、バイク事故で亡くなった都丸は、江口の幼馴染だったのだ。

 

僕は、江口のこのときの気持ちを思うと、逆の立場だったら、同じことをしたと思う。

 

江口は、うずくまった僕の頭を右手で鷲掴みにし、同時に左手で襟を掴んで、倒れていた僕を半分起こし、膝で立たせて、そこから右ストレートで僕を殴った。

 

そして、僕が倒れないように左手で強く襟を握りしめたまま、その状態で何度も僕も右ストレートで僕の顔に連打をくらわした。

 

僕は、どんどんと意識が薄れていき、もうこれで本当に終わると思った…

 

いよいよ、終わりが近づいたと思ったときに、僕ははじめて小さな声を出したのだった。

 

 

「ご、ごめん…」

 

 

そして、連打は止まった。

 

僕は、誤解させたことを説明することはしなかったが、最後の最後まで謝ることもしなかったんだ。

 



 

その後、どうやって剣道場から自分の教室に戻ったのかは、一切覚えていないのだが、
午後の作業実習のある教室に戻ったのだった。

 

 

「ガラガラガラ…」

 

 

教室を空けて、午後の授業に途中から入った僕だったが、この時、クラス中の生徒が一斉に僕の方を見た。

 

そりゃそうだろう。

 

僕は顔面ボコボコに腫らしており、しかも上着の作業着は血みどろ状態になっていたのだ。

 

当時の工業設計の授業で教鞭を振るっていた松田(教師)は、僕を見て一瞬怯んだが、何事もなかったかのように授業を再開させた。

※この松田は、ヨシノリと僕を一度パチンコ屋で捕まえたことがあった。
その時に、松田は結構、パチンコで負けていて、半分ゴト師のようなことをやって稼いでいたヨシノリと僕は、松田に玉を恵んでやったこともある。
まあ、要するに、この松田先生はこの程度の器だったってわけである。^^;;

 

一目散に、僕のところへ駆け寄って来てくれたのは、ご存知、相方の「ヨシノリ」だった。

 

ヨシノリは、速攻で、僕を教室の外で連れ出し、事情を聞くこともせずに、僕をおんぶして、学校を早退してくれた。

 

そのまま、学校のすぐ下(といっても数kmはある)の僕の自宅まで担いでくれて、僕の部屋で傷口を手当てしてくれた。

 

何があったのかは、この時は一切触れず、ただ黙々と冷たいタオルで僕の顔を冷やしてくれた。

 

一言、ヨシノリは言った。

 

 

「病院、連れて行っちゃろうか?…」

 

 

僕は、左ポケットに入れた抜けた歯をヨシノリに見せた。

 

ヨシノリは、僕が何を言いたいのかすぐにわかってくれて、そのままヨシノリの原チャリの後ろに僕を乗せて、2ケツ(二人乗りのこと)で苅田駅のすぐ傍にある歯科医に連れて行ってくれた。

 

僕の前歯の隣の黒ずんだ歯が、今だに前歯に加工されてくっついているのは、ヨシノリの迅速な判断のお陰なのである。

 

こうして、僕は九死に一生を得ることが出来たのだった。

 

 

「ありがとう、ヨシノリ。」

 

 

俺は、今でもお前に感謝している。

 

(つづく)

 

niketsu

 

追伸:
これが僕の高校生活で味わった最悪の事態です。
僕が殴られることは、この事件以降、一度もありません。
しかし、この事件が、僕のこの後の人生に大きな影響を与えてくれました。
どこまで遣られれば、人間は記憶が飛ぶのかということも知りましたし、
これだけの経験をした後は、そんなに怖いものがなくなりました。
社会人になって2度ほどヤクザに絡まれたこともありますが、
強気の姿勢で対処することができたり、
ビジネス上での様々な交渉事も乗り切れるようになったのは、
この経験があっただと思うんです。
この後は、僕はもう殴られることはないのですが、
相方ヨシノリがヤバイことになります。
もう少し痛々しいシーンが出てきますが、
復活までもう少しだけ我慢して付き合ってやってください。

 

 

 

今日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
それではまた。

 

皆さんの1クリックに感謝します。m(__)m


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