【第58話】第3波の波、到来

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(これまでのあらすじ)

16歳で初体験を終えた矢吹。
初体験の相手の衝撃的な事実を知った矢吹は、付き合い始めてわずか1週間で彼女との結婚を決断した。
1年半後に訪れる高校卒業と同時に、荒れ果てた生まれ故郷を捨て、花の都“東京”へ彼女と駆け落ちをする計画を立てた。
この短期間で100万円を稼ごうと、矢吹の選んだ道は『パチンコ』。
極秘テクニックの実践で、いきなり月に50万以上を荒稼ぎすることに成功。
その後、失敗と挫折を繰り返すことになるが、なんとか安定的に収益を上げることができるようになった。
「よし、これで駆け落ちはなんとかなる!」
そう思った矢吹は、残りの高校生活で、彼女との同棲をスタートさせる。
このまま幸せな高校生活をエンジョイして、一気に彼女と駆け落ちできると思った矢吹だった。
ところが2つの大きな事件に遭遇してしまう。
[事件-その1] 別のクラスのヤンキー3名に夜襲に遭い、ボコボコにされてしまう。
[事件-その2] 地域No.1の不良「ケント」の子分に夜な夜な嫌がらせ受ける。
2つ目の事件はケント当人の登場により完全に収束。
最初の事件は問題未解決のままとなっていたが、
なんとかこのまま平和な高校同棲生活をやり過ごせるだろうと思っていた矢吹だったのだが、他のクラスの同級生のバイク事故死という惨事から更なる悲劇が…

続きをどうぞ。

 

~~~~~~~

 

工業化学科の同級生・都丸のバイク事故死から、数日が経過していた。

 

その日は、突然やってきた。

 

昼休み、昼飯を済ませて、教室内でクラスメイトと遊んでいた時に、工業化学科の飛脚(ひきゃく)(※パシリのような奴のこと)が僕のところにやってきた。

 

 

飛脚:「すぐに剣道場へ来いって..」

 

矢吹:「は?…何?誰が??」

 

飛脚:「僕は、そう伝えろって言われただけだから..」

 

そういうと、飛脚はサッと去って行った。

 

 

矢吹:「なんだろう?」

 

 

この時の僕は、不吉な予感のようなものを感じることは全くなかった。

 

何も疑うことなく、一人でノコノコと剣道場まで歩いて行った。

 

 

僕は、小学校時代から高校まで、かなりの数の喧嘩をしてきた。

自分から仕掛けることもあったが、仕掛けられることも多かった。

しかし、その喧嘩のほとんどは、学校が終わった後や、日が完全に暮れてからやることがほとんどだった。

 

 

なので、昼食後の昼下がりに、何かの事件が起こることなんては、想像だにしなかったのである。

 

 

剣道場に着いて、重たいドアをゆっくりと開けた。

 

 

「ガラガラガラ…」

 

 

と、なんと、そこには、電気科と工業化学科のヤンキー連中が2、30人は集まっていて、数名は竹刀を持って立っていた。

 

中央には、先日、体育館で僕の首を絞めてきた “中井” が胡坐をかいて座っていた。

 

僕は一体、何が起きたのか全く推測が掴めないまま、目の前の2、30人をざっと見渡した。

 

2、30人中、10名くらいは、生徒会のメンバーだった。

 

信じられないかもしれないが、僕の高校は、生徒会はヤンキーにとってのステータスの象徴となっており、

 

生徒会 = ホンモノのヤンキー

 

という慣わしのようなものになっていた。

 

中井は、実は生徒会の書記だったわけで、学校内ではかなり力を持っていたということになるわけだ。

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なんとかこの目の前の状況を自分で理解しようと思ったのだが、生徒会ヤンキーメンバーを筆頭に、なぜこんなに他のクラスのヤンキー連中が集まっているのかは、僕には皆目検討が付かなかった…。

 

ほぼ全員が、僕にガンを飛ばしていた。

 

僕は、本当に状況が掴めず、この状況を自分がどう対応すれば良いのか答えが見つからず、直立不動で立っていた。

 

そのとき、中井が僕の方を見て、大声で次にように言った。

 

 

中井:「 “なんでお前らが死なんで、あいつが死ぬんかのぉ~~…” っちや?あぁ~!!??」

 

矢吹:「...!?」

 

中井:「おぉ!こら、矢吹!!俺達、落ちこぼれが生きてて悪かったな!!」

 

 

ここで、状況が何であるのか僕はようやく理解することができた。

 

先日、僕が体育館で中井に言った次の一言を、中井は上記のように解釈してしまっていたのである。

 

——– 先日、僕が伝えた言葉

 

矢吹:「お前らや、俺らみたいに、夜な夜な単車転がしている連中が事故んなくて、
都丸のような真面目な奴が運悪く死んだんだ。ちゃんと黙祷しろって!」

 

——– 以上

 

中井は、この言葉を「自分達不良が死なないで、マジメな男が死ぬのはオカシイ」というように解釈したのだった。

 

僕は、全身からいきなり汗が滲み出てきていた。

 

ここで、僕が「そんなこと言っていない!」と言ったところで、この状況は変えることはできるはずがないと思った。

 

僕は、黙ってその場に立ち竦(すく)んだ。

 

そして2、30人のヤンキー群の奥のほうから、ゆっくりとある男が前へ出てきた。

 

それは、あのツネだった。

 

 

ツネ:「矢吹、お前、まだ懲りてねぇ~みたいやの!
この場でブチ殺すぞ!てめぇ~!!」

 

 

そして、この罵声に被せるように、中井が言った。

 

 

中井:「俺ら全員を、この場で殺してみぃや!!矢吹ぃ~!!」

中井:「きさん、自分が何言いよんか、わかっとるんか!!??」

 

 

全員が僕を睨みつけている。

 

中井が、自分の都合に良いように解釈した先ほどの言葉を、ここにいる全員が本気で信じているのだ。

 

 

矢吹:「・・・・・・・」

 

 

何も言葉が出ない僕…。

 

中井は、更に僕を罵(ののし)った。

 

 

中井:「俺らが死なんで悪かったのぉ~!」

 

 

2、30人のヤンキー全員の殺気に満ちた熱気が、僕に伝わってきた。

 

どうなる?矢吹。

 

 

(つづく)

 

yankii

 

追伸:

重いですね….

今日は追伸なしです。(>_<;;

 

 

 

今日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
それではまた。

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