β(ベータ)遮断薬は心不全の特効薬になる可能性とその効果とは?

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β(ベータ)遮断薬は、心臓のポンプ機能が低下する心不全の状況で投与される薬です。

ACE阻害薬とともに心臓機能を守るお薬はより多く知っていた方が安心でしょう。

大切な人を守るために心不全のβ遮断薬の作用をしっかり学んでおきましょう。

 

β(ベータ)遮断薬とACE阻害薬の違いとは?両方とも心臓機能を助ける重要なお薬

 心不全というと狭心症にも成り兼ねない、迅速な医療処置が求められることがある症状として広く知られています。

 そこで「心不全」という単語はよく聞く言葉ですが、まずは具体的にどのような症状なのかを確認していきましょう。

心不全とは:

  • 心臓の役割は、体の中を流れている血液を全身の細胞に送り届けるポンプ
  • ポンプ機能である収縮力が低下して、全身の細胞に血液を送り届けることができなくなっている状態を心不全と言う

このような心臓の発作が起きてしまうと、救急車の搬送先は地域の二次救急医療が多いことからも、症状としては入院の可能性も出て来るような状態の場合もあります。

ですので、日ごろの備えとして心不全に対応できるお薬の知識を、患者家族のため・自分のために学習しておくことは大変有効です。

昨今の治療において、心不全に使うお薬というのは アンジオテンシン というホルモンの働きを抑制するACE阻害薬の方が有名かもしれません。

専門用語が多いので、今回の記事では丁寧に解説を加えていきます。

ACE阻害薬とは:

  • 心臓のポンプ機能が弱くなっている時(心不全)、体はアンジオテンシンというホルモンを働かせる
  • アンジオテンシンの働きは、心臓の血液の量は増加させ、体の末端の血管を含む全身の血管を縮める働きをする
  • これによって縮まった血管に十分な血液を送り込むために、心臓にもっと負担がかかってしまう
  • ACE阻害薬は、アンジオテンシンの働きを抑えることで、心臓を保護する作用がある
  • ACE阻害薬は心臓のバランスをとる循環器疾患をもつ方の、重要なお薬のひとつ

 

そして、β遮断薬(“βブロッカー” ともいう)は?というと、ACE阻害薬にはない独自の効能があります。

それは、本来このお薬には 陰性変力作用 があることです。

聞きなれない言葉ですので、こちらにも解説を簡単に加えますと次のようになります。

β(ベータ)遮断薬の持つ “陰性変力作用” とは:

  • 心臓の筋肉の収縮力を減少させる作用のこと

ちなみに、陰性変力作用とは反対の陽性変力作用とは、

  • 心臓の筋肉の収縮力を増加させる作用のこと

 

とのことです。

心不全は心臓のポンプ機能が低下している、つまり心臓の筋肉の収縮力が落ちている状態ですので、このような状態の時にβ遮断薬を使うことは、一見妥当ではないように見受けられます。

しかし、慢性心不全の症状に対しては、臨床試験の結果、ACE阻害薬との併用により、過去の心臓病のお薬よりも予後が改善されたという実績が出ています。
※急性心不全にβ遮断薬の使用は禁忌となっているそうなので、β遮断薬の使用はお医者様とよく相談してください。

 

心不全の患者さんがβ遮断薬を使えるようにするために、心がけることとは?

心不全に対する治療は長い歴史があります。

昭和の時代までは一般的だった心不全のお薬として、ジギタリス というものがあります。

このお薬は18世紀の後半から使われていたそうで、心不全を治療するニーズは何も現代に限ったことではないことが伺えるでしょう。

ただ、ジギタリスは副作用の心配が非常に高いことや、併用するお薬との相性でジギタリス中毒になる恐れがあるなどの問題点も多くありましたので、それに代わる臨床試験が長年なされてきた結果、β遮断薬の有用性が知られるようになった経緯があります。

ちなみに、ジギタリスは強心薬のカテゴリーに属する心臓機能を回復させる期待があったお薬ですが、強心薬と言えばどちらかといえばカンフルの方が、医療系のテレビドラマなどのセリフでも頻繁に使われていたイメージが強くて、なじみがあるかもしれませんね。

そして、心不全の状態ですと心臓の不調だけではなく、他の場所にも散見される場合があります。

理由は、ポンプ機能の低下によって血流が落ちて、体の細胞に届く酸素の量が減るなどの、体の細胞間・臓器間での連帯的な影響が出てくるからです。

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以下が、心不全による体への影響です。

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心不全になると起きる可能性のある体への影響:

  • 足がむくみやすくなる。(特にすねや足の甲など)
  • 肺に血液がたまる(肺うっ血)ことにより、呼吸困難になるケースもある
  • 血液の流れが悪くなるので、臓器に水分がたまりやすくなる

つまり、体の中を流れている血液を、田んぼの用水路に例えるとわかりやすいかもしれません。

どこか1ヵ所、田んぼに水を流す用水路のポンプの流れが悪くなると、その周辺の田んぼへの水の引き込みが滞ることで、稲の成長に影響を来すこともありますよね。

それが、心臓というポンプでも体全体に同じことが言えるのです。

β遮断薬は急性心不全には禁忌と先程書きましたが、急に訪れた生命の危機がある状態からまずは「脱出しないといけない」という時には、心臓は頑張って動いてもらうことを最優先しないといけないからです。

そのような時に、心拍数が増えて心臓が頑張りすぎないようにする作用(=つまり陰性変力作用)を持つβ遮断薬を使うと、逆に心不全をひどくしてしまう可能性があるからです。

β遮断薬の使用のタイミングは、血流などの体の状態が一定の状態に安定してきて初めて使用ができます。

しかも、最初はごく少量からの投与となりますので、体の状態をある程度はβ遮断薬なしでも維持できるように、日頃から体調管理を心がける必要があるのです。

 

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β遮断薬は「頑張りすぎないお薬」の代表として、まるで現代生活の象徴でもある

オリンピック選手の100m走のあの全力疾走を、オリンピック選手だって、そのままフルマラソンの42.195キロ分の距離、走り続けることは不可能です。

β遮断薬は心臓が全力疾走しようとするのを、ちょっとペースダウンさせることで長持ちさせる目的があります。

「長持ち」というと少し言葉が適さないかもしれませんが、実際問題として、命を永らえるためには「心臓を長持ちさせる」という考え方は必須です。

β遮断薬というのはあくまでお薬のカテゴリー名(ジギタリスが強心剤とカテゴライズされるのと同じ)ですので、お薬の名前というのは製薬会社さんごとに様々にあります。

代表的なものだと、アテノロールやインデラル、メインテートなどです。

実際にβ遮断薬を使っている人はどのような方々なのかといいますと、心不全以外に、高血圧の症状を持つ方だったり、あがり症を克服したい方も含まれています。

β遮断薬の使用例:

  • 更年期の症状とともに、不整脈と頻脈が出るようになったのでその治療として飲んでいる(40代女性)
  • 動悸がひどかったためβブロッカー(β遮断薬)を飲んでいる(30代男性)
  • 不整脈が出たためβ遮断薬を処方された(40代男性)
  • 授業中に教科書を読むなど、先生から指される時にひどく緊張して声が震えてしまうために、そのようなあがり症を克服するために、頓服薬としてβ遮断薬を飲んでいる(20代女性)

(Yahoo!知恵袋より)

Yahoo!知恵袋に掲載されていたβ遮断薬に関する体験談は、心不全治療と言うよりも不整脈や高血圧と診断されてβ遮断薬を飲んでいる、というものがとても多いですし、質問量も近年増加傾向になります。

また、心不全と診断されている方の身内の方からの相談で、β遮断薬を使うのは妥当かどうかの相談も多かったように見受けられます。

β遮断薬は心臓以外の臓器も頑張りすぎないようにする効果があるようですので、現代の緊張状態が続く生活や交感神経が優位になる生活から、「ちょっと休み休み行こうよ」と働きかけてくれる役割がβ遮断薬にはあると思います。
※β遮断薬の書く種類によって、得意分野は異なったり効き方が違ったりするのでお医者様とご相談されることをオススメします。

以上、いかがだったでしょうか?

β遮断薬はネットで検索すると、専門的な解説を加えてくださっている医療従事者様専用サイトと、β遮断薬を実際に使いつつもそれがどのようなお薬なのかを知りたい方々のサイトが多かったので、今回は誰が読んでもわかるようにβ遮断薬についてのわかりやすい説明と、心不全への有用性、またそれ以外の症状にも対応している側面を解説してみました。

 

まとめ

  • β遮断薬は、急性心不全には使えないが、一定の状態に体が安定できたら、心臓を頑張りすぎないようにサポートする薬
  • β遮断薬は慢性心不全に対してACE阻害薬と併用することで、予後の生存率を高めることができたという臨床結果が出ている
  • β遮断薬は、高血圧や不整脈それにあがり症の症状にも良い
  • 「頑張りすぎないことを応援する」お薬の役割があると言える

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あとがき

日常の何気ない動作によって血圧や心拍数が上昇し、心臓の動きに違和感を覚えたら、労作性狭心症だったという話をよく耳にします。

心臓は、生命維持に欠かせない大切な役割を担う臓器ですので、「おかしいなぁ」って思ったら、医師や看護師にいち早く相談することをおすすめします。



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